神道式の葬儀「神葬祭」の知ってて損はない作法に関して

昨日本日と2日間に渡り、地元の名家の方の葬儀があり、当社神職にて御奉仕させて頂きました。

法霊山龗神社instagramからの投稿

お亡くなりになられた命(みこと)様には、3年ほど前に経営される施設の竣工祭でお会いしたのが最後となってしまいました。
ご挨拶した時の笑顔が今となっては印象的です。
謹んで御霊の安らかなるをお祈り申し上げます。

現在の日本では、仏式の葬式に比べて神道式の葬儀は圧倒的に少なく、多分経験がない方も相当多いかと思います。
本日の神葬祭でも、見ていると会葬の方々で作法をご存知ない方が8割位に見受けられました。

そこで、今後仕事のお付き合いなどで神葬祭に参列する事になった場合に、知ってて損はない作法に関して、最低限ですが書きます。︎

■神式かどうか確認しましょう
仏式の告別式は、神式では「葬場祭」と言います。
この様に書いてあれば神式の可能性が高い事になります。
また、逝去ではなく「帰幽」とある場合も神式と思って間違いないかと思います。︎

■のし袋に気を付けようの件
神式では、のし袋の表書は「御玉串料」「御神前」「御霊前」が適しています。
御仏前や御香典はダメです。
また水引は白黒又は銀色、白黄のものが無難と聞いています。
但し、私の経験では、白黄は、遺族の方が神職に謝礼を渡す際に使用するのが多いイメージで、参列者はほぼ銀か白黒のイメージです。
そして、蓮の花などの模様が入ったものは仏式のものですので使用を避けます。︎

■珠数を持っていくのはやめましょうの件
葬場祭に参列や会葬する場合には、数珠を持っていくのは間違いです。
数珠は仏式の多くの流派の場合のものですので、神式に持ってくのは宗教違いで、御遺族様の考え方に対して失礼になりますので気を付けましょう。︎

■ご冥福を祈ってはいけない件
ご冥福は、仏教の一部宗派の思想ですので、死後神の道へと進むという神式の考え方においては使用するのが危険な言葉です。
お悔やみ申し上げますなどが無難かと思います。︎

■玉串奉奠は最低限覚えようの件
神式ではお焼香ではなく玉串奉奠で拝礼します。玉串の根本を神前に向けて台の上に捧げ、
①2回深く礼をする。
②2回拍手をするが、この時音を立てない忍び手(又は偲び手)で拍手をしたような動きだけ行う。
③1回深く礼をする。
という作法で行います。

とにかく拍手の際に音を立ててはいけません。
逆に普段の御祈祷では、大きく音を立てて柏手を打たないといけません。
音があまりに小さいと偲び手の様で縁起が悪いとされます。
また玉串奉奠の前後で、軽い会釈程度頭を下げるとさらにいいです。︎

■合掌して拝むのはやめましょうの件
合掌、つまり手を合わせたままで拝むという作法は、神社神道には存在しません。
これは神葬祭に限らず普段神社に参拝する時もそうですが、2礼して2拍手した後、そのまま手を合わせて合掌した状態で拝んでいる方が圧倒的に多いのですが、これは神社神道には存在しない作法です。

何かを祈念する様な場合は、玉串を台に捧げる前、おでこの前あたりに玉串を両手で持って掲げて祈るのがいいと思います。
この拝礼作法に関しては、様々持論を展開する方も多く、一度きちんと書いておこうと思っていましたので、後日書こうと思います。︎

■祭壇前には正しく進もうの件
玉串奉奠で祭壇前に向かう際は、祭壇正面左右の竹と竹の間に張られたしめ縄の下を進みます。
横から出入りしてはいけません。
入る時同様に出る時も同じ場所から出ます。拝礼後の進行方向が横だからといって横から出るのではなく、きちんと正面しめ縄をくぐって祭壇前を退きましょう。︎

■拝礼後は清祓いを受けて帰りましょうの件
地方によって違うそうですが、玉串奉奠の後、会場を後にする際、出口に大麻(おおぬさ)を持った神職がいる場合が多くあります。
ここで大麻祓いを受けて、穢れを祓い帰路に着くのが神道式です。
軽く頭を下げて祓われながら歩いていく、又は後ろに人がつまっていなければ、立ち止まって頭を下げて祓いを受けてから会場を後にしましょう。

以上簡単に書きましたが、神葬祭のマナーになります。
地域によって作法が違う場合もあるそうですので、上記を参考に周りの人達の所作を確認するのがいいかも知れません。

参考程度にどうぞ。