地鎮祭を行なったが納得いかないので教えて欲しいと問い合わせ頂いた方の件(業者さんにも是非知っておいて欲しい件)その2
本日は一昨日の地鎮祭で神饌の扱い方に関する投稿の続き、
②「お酒を持っていったら、せっかく自分で飲みたいお酒を持っていったのに、それも神社に持って行かれた。」
に関してです。
龗神社でもそうですが、多くの神社では施主さんにはお祓い料の他、日本酒を一升持ってきてくださいと伝えると思います。
このお酒に熨斗紙をつける時に、表書きは中央上部に「奉献」「奉献酒」「御神酒」などと書き、下中央に施主名を書きます。
このお酒はその名の通り、神前に奉納献上するお酒、という事ですので、終わった後にはそのまま神社に献上するお酒、という事になります。
なので普通施主さんが持って帰るという事はありません。
今回ご相談の方、多分ハウスメーカーさんからちゃんとした説明をされなかったか、又は友人同士の会話の中で誤解があったのか、何かの理由で自分が持ち帰るものと認識されていたようでした。
龗神社の奉献酒に関する取り扱いとしては︎
■ 施主名で一升又は二升奉献頂く。︎
■ 一升の場合は神社で納める。︎
■ 二升の時はうち一升を施主さんにお返しする。但し業者さんや親族などから祝い酒があがっている場合は、大工の棟梁さんやハウスメーカーさんに対して、施主さんから差し上げてもらう場合もある。︎
■ 業者名で奉献されたお酒や親族などから奉献されたお酒は、施主さんへのお祝いとして施主さんに渡す。
としています。
これはあくまでも龗神社のケースです。全てのお酒を納める神社さんもあるでしょうし、逆に全て施主さんに渡す神社もあるかと思います。
龗神社では神人共食の観点から、神饌とお酒は参列者全員でお下がりを分けるべき、と考えているのもあって、神饌を施主さんに全て渡し、お酒は神社で納める、としています。
神社が納めるものが無いというのは問題なので、最低何か一つは納めないと理屈が合わないと思うからです。
うちの宮司は、やはり神人共食を意識して、場合によっては神饌を施主さんだけではなく参列した業者さんにも配ったりして、お酒だけ持ってくる様にする場合もあるようです。
また業者さんによっては、たまに地鎮祭終了後、その場で直会として奉献酒で参列者全員にて神酒拝戴、つまりは乾杯の様な事をする場合もあります。
これも神人共食の一つです。
奉献酒を持ってきて神前に供し、そのまま持って帰る、となると、差し上げますと言って差し出したお酒を用件が済んだから返してください、と言ってる事になるので、今回ご相談があった様なトラブルを避ける為にも事前に業者さんによく確認する方がいいと思います。
また神饌同様、業者さんが神職の指示無しに奉献酒を勝手に扱うのはトラブルを招く場合があります。
4〜5年前だったかと思いますが、岩手県での地鎮祭に伺った際、大変崇敬厚い御家族だったのですが、終了後に業者さんが神饌やお酒を扱うのを見て、施主さんの老齢のお母様がもの凄く怒った事がありました。
営業担当者が困惑し、お供物や御神酒はお清めされた縁起良いものですから、お渡ししたいと思って…と言い訳したのですが、火に油を注ぐ結果に。
まずお清めされた縁起物など適当な話をするなと怒り、私達が神饌を持って帰るなどの不作法者だと馬鹿にしてるのかとまた怒り…
申し訳無い、私が先に案内すべきでしたが、彼にお願いしてしまって大変失礼致しました、という事で何とかおさめて貰いました。
この経験から、施主さんと業者さんの様子を気を付けて見るようになって、出来る限りトラブルを避ける事を考える様になりました。
という事で、ご相談者さんには、奉献酒はその名の通り神・神社に奉献するお酒ですので、一度差し出したものを返してもらってという性質のものではないですよ、普通神社で持ち帰るのが常識的です、とお伝えしました。
奉献酒に関しては以上です。
業者さんにとっては苦労も多いでしょうが、簡単に言えば神職に指示を仰ぐのが間違いない、という事に尽きます。
それに様子を見ていると、施主さん側は、神饌やお酒を貰って必ずしも喜んでいるとは言えなさそうです。
施主さん達の反応を見ていればそんな感じに見える時が多々あります。
勧められて断るのも悪いかな?的な反応で、家族と顔を見合わせながら「じゃあ頂いてもいいですか?」の様な反応をかなり経験してますので、張り切ってお勧めする、というよりは、その場で神職と施主さんとコミュニケーションを取りつつ様子を見て決める方が安全です。
長くなりましたが、奉献酒はちゃんと奉献しましょう、という事で。