地鎮祭を行なったが納得いかないので教えて欲しいと問い合わせ頂いた方の件(業者さんにも是非知っておいて欲しい件)その3
昨日に続き、地鎮祭トラブルに関する件、③から書いていきます。
③祭壇が龗神社のインスタで見るものと全然違った。
この1年、この問い合わせが何度かありました。
地鎮祭を適当にされた、というので聞いてみると、インスタで見た龗神社の祭壇と全然違うという理由でそう思ってしまったという事です。
ハウスメーカーさんがいい人で言えなかったけど、生涯何度とない地鎮祭なのでもっとしっかりやりたかったのにと後悔している、などと仰る方が何人か問い合わせがありました。
しかし祭壇のしつらえは、神社によってそれぞれ違います。
龗神社のインスタに載っているものは龗神社の祭壇で、他のお宮さんとは違うと思います。
龗神社は暴風や大雨では無い限り現地でできるようにと考えた結果、様々固定できるように等の理由で現在の形になっています。
例えば現地にテントがあって幕が張られ、祭壇を置くスペースが小さい場合などは、祭壇のしつらえが変わります。
重要なのは祈願であって、祭壇では無いからです。
どうしても龗神社の祭壇でという場合は、業者さんに龗神社指定の意思を伝えてご連絡頂く他ありませんが、繰り返し言いますが本質は内容だと思います。
④式中式後の写真撮影が一切出来なかった。
これも神社によって考え方が違うところですが、本来はできないものと思った方がいいと思います。
龗神社では、竹の中に入らない事と祭壇の後ろに回り込まない事、つまり降神した神の背に回り込まない事を条件に、写真動画共に可能としています。
しかし本来は神職より前に進む事は玉串奉奠以外出来ないと聞きますので、良いことではありません。
実際神職より前に出なければ撮影可としている神社も多いそうです。
そして、指示があった時以外は動かない事、喋らない事が基本の祭典ですので、今回のケースの様に撮影できないのが当たり前と思っておかなければならないと思います。
⑤建物の四隅に米や塩、酒を撒くものと友人から聞いたが、それが無かった。
これはちょっとややこしい話になるのですが、この様な次第は地鎮祭には本来存在しないはずです。
建築祭式の書籍を買って読んだ時にも、その様なものは無かったと記憶しています。
実は龗神社では、米塩酒を地鎮祭終了後に四隅に撒くという事をしています。
これは地鎮祭の中の次第ではなく、終わった後の補助的な事で、地鎮祭には直接関係しない事です。
というのも、式次第に切麻散米という四方祓いがあって、切った和紙・麻に米と塩を混ぜたものを四方に撒くというものなのですが、うまく米と塩が撒ききれない場合が多い為、式終了後に補助的に撒いてもらっているというものです。
なので明確に分ける為、閉式の辞を述べた後に行っています。
あくまでも降ろした神に神饌物などで饗応した上で建築に関する祈願を伝えるのが地鎮祭です。
なので米と塩、また酒などを四方に撒いても地鎮祭にはならず、地鎮祭の趣旨からいっても何ら意味を成していません。
やはり龗神社と同じく四方に米塩酒などを撒くという神社が結構あるそうですが、これを勘違いして広がってしまったのが今回の問い合わせなのかも知れません。
この様な事は行わないのが普通だと理解してもらった方がいいです。
以上、3回に渡って地鎮祭に関するトラブルを書きました。
とは言うものの、施主さんからすれば生涯何度と経験しない大きなお祝いの機会ですので、少しでも立派にやりたいと思う気持ちは良く分かります。
業者さんとよく相談して、どの様な内容で何が可能なのか、しっかり確認してから申し込む事で施主さんも業者さんも神社もお互いスムーズにいくと思います。
今後地鎮祭を予定されている方は参考にしてみてください。