いわゆる「日ユ同祖論」に関して意見を求められて議論せざるを得なくなってしまった話-その1
昨日神社での御祈祷が終わり、翌日の御祈祷の準備や諸々片付けをしていた時、拝殿外から
「すいません!ちょっとお話いいですか?」
と声を掛けてきた30代かなと思われる女性との話です。
寒いので中へどうぞ、と拝殿に通して話を伺う事にしました。
するといきなり
「すいません、日ユ同祖論をご存知ですか!?」
と聞かれ、あらら、面倒な事にならなきゃいいな…と思いながら
「あぁ知ってますよ。都市伝説レベルであれば。」と答えました。
すると
「えっ?知ってるんですか?」
いやいや自分で聞いて驚くって…と思いながら
「まぁどの程度を知ってるって言っていいのかわかりませんが、都市伝説とかエンタメレベルの事であれば見聞きした事くらいはあります。」
言いませんでしたが、あとは学者・研究者の書いた本もそれなりに読んでます。
すかさずその女性は
「それでは色々伺いたいので、録音させて頂きますがいいですか?」
このケース実は初めてじゃないんですよね。
3〜4年前の三社大祭の行列還御時、同じように日ユ同祖論について伺いたいので録音しますと言ってきた女性がいました。
小田八幡宮の権禰宜さんがその場にいて困惑し、私が対応したという事がありました。
今回の方は別の方です。
それで
「外部に音声も内容を起こした文面も一切公開しない、自分以外が見聞きしない記録用以外はお断りします。不確定な話を私が確定的に話したと誤解されると大変な問題になります。」
と言ったところ、それでもいいですとの事。
「あともう一つ、この会話内容は龗神社のinstagramで公開しますが、それで良ければお話しします。それで誤解が生じるリスクをある程度回避できると考えますので。」
個人が特定などされなければ大丈夫という事だったので、書かせてもらいます。
女性「まず日ユ同祖論についてどう思いますか?」
私「日ユ同祖論の何についてどう思うという話です?」
女性「事実だと思いますか?」
私「研究やフィールドワークをした事がないのでわかりません。」
女性「でもご存知って事は、様々見たりした事はあるわけですよね?その結果思う事としてどうですか?」
私「そうは言っても、多くの研究者の方々が調べたりした上で、まだ結果が確定していない訳ですよね?それに対して自分で研究した事もない私が、どう考えたって話しても意味ないんじゃないですか?」
女性「そうじゃなくて、神主として仕事している上で、日ユ同祖論に対して感じる事はないかという部分で。」
私「それって、神職の立場にある人間が日ユ同祖論について肯定的な話をした、っていう面白味が欲しいとかじゃないです?」
女性「そういう事じゃないです!私自身は調べてみて、日ユ同祖論は真実じゃないかと考えているんです。」
私「まぁ事実かどうかってのは別として、面白い話だとは思いますよ。実際その方向でお話しされる神職さんがいるのも知ってますし。」
女性「!?それで、そのような説は真実の可能性もあるかも知れないと思いませんか?」
私「そうかも知れないですが、結局自分で調べてない訳で、私は自信持って真実ですって言える立場じゃないって事ですよ。逆に聞きますけど、どのような研究をされて真実だと思うようになったんですか?」
女性「研究っていうか、情報を集めて勉強するうちにそう思いました。」
私「その情報って、インターネットの情報とかです?」
女性「基本はそうです。」
私「いやね、前にも同じような事聞いてきた方がいて、どこで勉強されたのか聞いたら、やっぱウェブの情報だって言うんですよね。それが全部悪い訳じゃないけど、例えば私が少し情報をかじって知り得た情報から勝手に推測した仮説を、確証も無くブログとかに載せて、都合いい所だけ出典を記したらどうなります?ホントに研究した論文的に書けちゃいますよ。」
女性「それはそうかも知れないですが意外と事実存在する事も書いてあって」
私「そりゃそうでしょ、共通項とか見出す部分があるから仮説ってのは存在するんですから。」
女性「いやでも」
私「というのもね、神社や神道に関して、我々が講習とかで習った事と全然違う持論をあたかも真実の様に書いてるのってウェブで豊作状態なんですよ。挙句自分だけが気付いた事実とか書いちゃって。それって証明できない逃げ道じゃないですかね?その程度なら私でもできてしまう。実際龗神社のinstagramにもそんな感じの事書いたりしてますし。」
女性「日ユ同祖論も同じようなレベルのものって考えですか?」
私「違います。事実かも知れない、違うかも知れない。ただウェブ上の持論を真に受けるのは違うって話です。真剣に研究やフィールドワークを重ねて出版された書籍などであれば理解はできるって話です。」
プロローグはこの位で。
まぁこの後、日ユ同祖論についてもっと突っ込んだ話になっていきます。
続きは次回。