陸奥国八戸総鎮守 法霊山龗神社ブログ

青森県八戸市の総鎮守である法霊山龗神社で行われている日々の社務や神社や神道に関する豆知識、地鎮祭やお宮参り、七五三をはじめとしたお祝い事をブログでご紹介しています。

八戸三社大祭社務日誌

古文化財保存修復研究 現地での修繕事業進捗確認

本日出張最終日、埼玉県さいたま市にあります「古文化財保存修復研究所」さんの工房に伺い、人形本体の躯体修繕の状況を見させていただきました。

https://www.instagram.com/kobunka/

法霊山龗神社instagramからの投稿

確認作業には「日本人形文化研究所」の林直輝先生にも立ち合いをお願いしました。

https://www.instagram.com/naoteru_hayashi/

本件は有形文化財指定者の八戸市(担当は教育委員会社会教育課)が主催する様な形で進められ、どこをどの様に修繕していくかなどの技術的な話と、古文化財を修繕する上での考え方や方針などを解説頂きながら拝見しましたが鳥肌立つ程の衝撃を受ける事に。

細かいことはいずれ追って投稿したいと思っていますが、まずは、汚れていてもかすれていても、手をつけるべきではないものは手をつけず、元を最大限保存する方針の厳格さ。

次に技術面で凄いと思ったのは、例えば色が削れ落ちている部分があって、その部分を復元する為に塗る訳ですが、下地まで見えている部分とギリかすれて残っている部分があります。

これを全面的に塗るのが一番綺麗になる訳ですが、かすれている部分は、初期の情報を残す貴重な資料であるという事で、下地が見えている部分のみ塗布するそうです。

素人なりに考えても、全面塗る方がまだ簡単だと思い
「元を残して色を塗るって、逆にとんでもなく難しい事じゃないんですか?」
と伺うと、
「えぇ、そっちの方が難しいです。」
とサラッと仰っておりました。

その他木部の修繕も、部分的な木製部品の新調も、いやいや腕良すぎでしょ!ってなる程の状況に。

古い文化財を愛して追求する人達のレベルが常人のステージとは何十段階も差があるのだと深く感じ入っていたところ、古文化財保存修復研究所さんからziplock的なものを突き出され、

「これがこの人形に使われてたビスとかクギです。」

透明な袋には大量の現代的なビスやクギが入れられており、今までどれだけ適当な修繕を行なってきたのかを物語る歴史遺産として神社に返却される旨通達されました。

恥ずかしいです。

細かな部分などは追って投稿しますので、今や現代では到底真似できないであろう昔の職人達の技を感じてほしいと思います。