陸奥国八戸総鎮守 法霊山龗神社ブログ

青森県八戸市の総鎮守である法霊山龗神社で行われている日々の社務や神社や神道に関する豆知識、地鎮祭やお宮参り、七五三をはじめとしたお祝い事をブログでご紹介しています。

社務日誌

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「龍神」という概念と祝詞について。重要な事なので多少長くなります。昨日の月次祭にご参列頂いた方から伺ったのですが、神棚前で「龍神祝詞」というものを奏上しているそうで。その方から「こちらは龍神さんがいらっしゃるから龍神祝詞を読んでいるのですが、それでいいんでしょうか?」という事を聞かれました。そう言えばYouTubeで字面だけは見た事ある気がするな、と思ったのですが、私自身詳しく見た事も、もちろん奏上した事もないものでした。それで調べてみたのですが、少なくとも2種類以上ありまして。一つは圧倒的に新しい創作文だなとわかるもので、もう一つは不明なもの。我々の神社神道では、延喜式祝詞と呼ばれる形式のものを奏上したり作文したりします。延喜式は原則大和言葉、端的に言えば訓読みとなり、例えば御神徳(ごしんとく)と書いて「おおみのり」と読む、親族家族(しんぞくかぞく)と書いて「うからやから」と読む、など、延喜式が成立した平安期の状況に出来る限り近い形で読まれる事になります。明らかに新しいと思われる龍神祝詞というものは、その辺りがごちゃ混ぜで、いわゆる「古文風・祝詞風」に作文したんだな、と思える感じです。あと、神を讃え、感謝を申し上げ、願いを伝え、畏れながら申し上げる旨伝えて文を閉じる、という延喜式祝詞の最小限の文脈ルールとも違いました。また、祝詞で多用される比喩表現などもなく、大変失礼ながら美文とは言い難く、祝詞作文にこだわりを持つ私としては、もう少し何とかならないかなと思ってしまいます。そして決定的なのは、神が人々を救うという考え方。そもそも神道にはそのような教義教典は無いわけで。救うというのは、外来宗教の影響で、神社を同一の思想のもと理解しようとした結果が影響したんじゃないかと思います。御祈願の祝詞でそんな様な事言ってるじゃないか、と思う方もいらっしゃると思いますが、ちゃんと紐解くと実は結構違います。詳しくはいつか機会があれば。もう一つの不明な祝詞に関しては、今の段階で全くわからないもので何とも言えません。誤解のないように言いますが、新しい創作の祝詞だから悪いとかそういう事を言ってるのでは無く、我々の神社神道とは別物だというだけです。新しいものに崇敬の心を持つ事だって悪い事じゃないですから。そしてここから龍神という概念についてです。まず言ってしまうと、龍神という神は神社本庁に認められているものではないという事です。龍神というのは仏教や道教などに出てくるもので、日本の神ではないからです。じゃあ何故龗神社含め龍神と言われる神が全国にいるのかというと、神仏習合や外来宗教との習合の過程で、例えば水の神を龍神と比定してきたからです。この事が文化として後世まで残ってきたものが龍神と比定された神々という事でしょう。なので龗神社御祭神はあくまでも高龗神であり、文化として龍神と比定された時代もある、という事になります。神職の立場で説明できるのはこのような事になります。他にも、大日如来と天照大神を比定したりしますが、言うまでもなく大日如来は真言系密教の仏ですので、天照さんを御祭神とする神社で、祝詞で大日如来とは言わないわけです。他にも市杵島姫命を弁財天と比定しますが、弁財天はヒンドゥー教が原点の神で、日本の神では無いわけですので、祝詞で弁財天とは言わないと思います。同じくヒンドゥー教が原点の大黒天は大国主さんと同一とされますが、やはり大黒天は日本の神では無いので、祝詞で大黒天とは言わないわけです。祝詞でこの様に奏上してしまうと、それはもはや新しい宗教になってしまうという事です。神様の立場に立てば、大日如来は天照さんの本地仏で顕現したものであるという事を言われて、普通嬉しいという事はないでしょう。逆に仏様の立場でも同じでしょう。大日如来さん、弁財天さん、大黒天さんにもそれぞれの成り立ちやストーリーがあり、読むと興味深く素敵なものですし、天照さん、市杵島姫さん、大国主さんにも素敵な物語や悲しい物語があり、まさに神や仏の歩んだ人生の先に神社やお寺さんがあるのかと思うので、そのような成り立ちは大事にしたいと思っています。神仏習合は多くの素晴らしい建築物や文化をもたらした反面、神や仏の物語を都合良く書き換えてしまった側面もあるのかなぁ、と考えています。但し、皆さんが龍神さんや七福神を好きで大切にする気持ちは、日本が培ってきた宗教文化の大切な成果ですので、決して問題があるわけでは無いと思いますし、八戸三社大祭でも龍神として龗神社を題材にした山車もありました。繰り返しになりますが、龍神祝詞や神仏習合に対して良い悪いという事を判断しているのでは無く、文化的側面や新しい考え方の崇敬と神社神道の違いに対する解説をしたものですので、どうぞ御理解下さいます様お願い致します。#神社 #龗神社 #法霊山 #法霊山龗神社 #高龗神 #神仏習合 #神仏習合の名残 #龍神 #龍 #龍神祝詞 #八戸三社大祭 #八戸三社大祭龗神社発祥三百年 #三社大祭 #三社大祭龗神社発祥三百年
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