神殿の解体作業安全祈願祭に伺った話
今週12日月曜日の話になりますが、とある私有地内に鎮座している神殿の解体に伴う安全祈願祭に伺いました。
受託:株式会社石上建設
お電話で申し込み頂いたのですが、現地がよく知っている場所でしたので、住所とお名前と業者名のみ確認して伺った為、当日現地に行くまで神殿とは知りませんでした。
到着して神殿であると知った時は青ざめました。
お申込者は土地の所有者で、御両親が手厚くお祀りしていたものの、代替わりしてからは20年近く手をつけていなかったそうです。
此の度解体することになり中を確認したところ、御神体らしきものは納められていなかったそうで、私も確認しましたが何もそれらしきものはありませんでした。
「何の神様がいらっしゃったとか、何か聞いてる事はありますか?」
と伺ったところ、龍の神様だと聞いている、との返答。
しかしその場にあった額を見ると「大社教 千家〜」とあるもので、大国主さん?と思ったものの、「他に出羽三山の掛軸があります。」という話になり、混乱を極めてしまいました。
果たしてどの神様を降神すべきなのか考えましたが、御神体は無いとは言え、その神殿に絶対神がいらっしゃらないとは言い切れないので、大地主大神、埴山姫大神、祓戸四柱大神、産土大神、法霊山龗神社大神、此の神殿に坐す大神等、この区域内の大地と室屋に坐す諸々の大神等、区域内の立木に鎮る御霊等、という様に降神する事としました。
そして問題は祝詞で、一般的な建築物を解体する為の祝詞を準備してしまった為、墨書を諦めて部分を即興で作文し直しながら奏上する事にしようと決めました。
例えば
住む者等を長き年月に渡って雨風より守って頂き、時に楽しく、時に苦しく歩み来た親族家族等の人生を共に過ごしてきたこの室屋には、数多の春秋の数を重ね来た思いもありますが、世の状進み行く中で劣化したこの室屋の解体も敢無き事と心を決めて〜
という様な祝詞を書いていましたが、これはどう考えてもその建物に住んで生活していた場合の内容になりますよね。
という事で、部分的に変更して
今やどれ程の年月が流れたのか分からぬ程に長くこの場所に鎮座されておりますこの御社は、時に楽しく、時に苦しく歩み来た親族家族の人生と共に在りましたが、此度理由があり、数多の春秋の数を重ね来た思いもありますが、世の状進み行く中で劣化したこの神殿の解体も敢無き事と心を決めて〜
と変更しました。
この様な変更を数箇所織り交ぜながらの奏上となりました。
これを頭の中で組み立てながら即興で読むので、言葉の選定やら文の構成やらかなり慎重になります。
少し重複する様な内容の部分も出てしまいましたが、おかしい内容にはならない様に奏上できたと思います。
ちなみに、降神した神の中に「区域内の立木に鎮る御霊等」とありますが、要は樹木伐採もするという事をその場で業者さんに伝えられたので降神しました。
しかし樹木伐採の内容までをも即興で祝詞に入れる自信がなかったので、
室屋、造作物などをはじめ、区域内にあります諸々を解体撤去しますので〜
という様にして、敷地内の全てを解体撤去しますという事で広義の捉え方をしてもらうようにしてみました。
少々バタつきましたが、無事納められてホッとしています。
ちなみに業者さんの担当で現地にいた方、偶然にも私の娘が小学生の時にPTAのお父さんの会で一緒だった方で、それ以来悪態をつきながら仲良くしていますが、現地到着して顔を見た瞬間に嫌な予感がして帰ろうかなと思いました。
「うわぁ俺帰ろうかな…」
と言ったら
「いや何でだよ」
と言われました。
まぁ実際彼のお陰で様々スムーズに進みましたので、ありがたい事です。
今後は知ってる場所だからと言って、確認を怠ること無く努めようと思います。