陸奥国八戸総鎮守 法霊山龗神社ブログ

青森県八戸市の総鎮守である法霊山龗神社で行われている日々の社務や神社や神道に関する豆知識、地鎮祭やお宮参り、七五三をはじめとしたお祝い事をブログでご紹介しています。

八戸三社大祭

八戸三社大祭法霊山龗神社オンライン渡御祭第二十一日目 〜明神旗・随神・前導・日月旗〜︎

令和三(2021)年 八戸三社大祭
法霊山龗神社オンライン渡御祭第二十一日目 〜明神旗・随神・前導・日月旗〜︎

法霊山龗神社instagramからの投稿

■ 写真1:法霊大明神旗(ほうりょうだいみょうじんき)︎
■ 写真2:随神(ずいじん)︎
■ 写真3:日月旗(にちげつき)︎
■ 写真4:前導(ぜんどう)

協力:八戸テレビ放送、白陽写真館

ここからが行列の最も核となる部分に近付きます。

まずは法霊大明神旗です。

本来これは、その後にやって来る神が何たるかを示すべきものです。
サッカーの高校生大会なんかで「青森山田高校」ってプラカードの後ろから来た高校が市立船橋高校だったらおかしいわけですから、そりゃ当然そうなります。

するとこの流れでいくと、御神輿に座す神は法霊大明神という事になるはずですが、以前書きましたが祝詞では「龗大神乃大御祭仕閉奉留爾依里」とあります。
普通なら「法霊大神乃大御祭仕閉奉留爾依里」となるべき所ですが、祝詞では違います。

これを言い出すと非常に長くなるので、いつかの機会にあらためて触れたいと思います。

次は随神です。
黒と朱の装束2名がその役についています。
よく向かって左側の朱の装束を矢大神(やだいじん)、向かって右の黒の装束を左大神(さだいじん)、などとも言い、矢大神を右大神(うだいじん)と呼ぶ場合もあるそうです。

神社の中にも随神像が置かれている所もありますが、要は神を守護するものであります。

以前装束の詳細は紹介したので簡単に書きますが、頭は冠に巻纓(けんえい)、耳の所に緌(おいかけ、又はおいがけ、とも)、装束は袍(ほう)ですが、男性神職の正服とする袍とは仕立てが違います。
また手には儀仗の弓と矢羽を持ち、帯刀します。
その他、随神装束の詳細は過去の投稿をご覧ください。

次に前導ですが、裃3名程度が、御神輿の直前を導くもの、として所役を担っています。
龗神社では氏子町内会長がその所役を担います。

一般に言えば先導、という方がしっくり来ますが、神職などの列でも先導役は前導所役とされます。
先導の場合は自分より前、要は先々を目指して後ろの対象を導く、というのに対し、前導は自分の後ろにいる対象を自分の所まで導く、つまり対象と自分の間を指す、と仰っていた在野の民俗学研究者がおりましたが、真偽は別としてそういう意味の可能性も無きにしも非ず、というところです。

但し、宗教学、歴史学、民俗学は同一の事柄に対して全く別の見解を示す場合が多く、水と油のような感じが多くあるので、先導に関しても何が正しいか全くわかりません。

通常の神職参進などでは、前導所役は全神職の先頭になりますが、龗神社行列では御神輿を導くとして前導をおいて、先導は先駆や猿田彦となるように見えます。
詳しくはわからないので仮定として、という事にさせてください。

そして次が日月旗です。
別の呼び名としては「錦の御旗(にしきのみはた)」「錦旗(きんき)」などとも言います。
金色の日像(日輪:にちりん)、銀色の月像(月輪:がちりん)をそれぞれ配した旗もので、近代までは特に天皇の官軍の証等とされ、国威発揚や軍の士気を高めるなど、国民にとっての重みは相当なものであったとされます。

龗神社行列に限らず、全国の神社行列にも見られる旗という事で、その目的は共通する部分があるとは思いますが、物は同じでも意味が違う場合も多くある事がわかっているので、龗神社の錦旗がどの様な目的か、はっきりと言える状況にありません。

錦旗本来の持つ意味からしても、多分天皇陛下を最高位の斎主と仰ぐ神社神道の神を祀る行列を象徴するもの、といったところなのでしょうか。
または天皇家の御尊厳を示し、天皇陛下と神道の関わりなどを現す、という事かも知れません。
実際江戸期の行列には存在せず、明治期になってからは存在が確認されています。

錦旗に関しては神社行列での意味をご存知の方もおられるかと思います。
知っている方おられるようでしたら教えてください。